固有性と一般化

スペインバスク地方サンセバスチャンの海岸線を訪れた時に固有性について少し考えました。

固有性 – あるものにもともと備わっている性質。 そのものだけにあり、それによって他と区別されるような性質。と辞書にはあります。

その場所、人、時

その場所だったり、人だったり、時代もあったりするのでしょうか、つまり固有性はその時、その場所、それ使う人や見るひと、それぞれの”ならでは”があることによって強く現れるのかな、と思いますし、実はどこにでもあるモノの筈です。

それに対して現代の多くは大量生産による一般化を考えてできていそうだなと、ふと思いました。

一般化の中に固有性を考える

より多くの人に、より多くの場所で同じように使えるモノが溢れています。たしかに全てのモノをオーダーメイドのように一点一点作ることは効率が悪いですし、一般化することによるメリットは大きいです。日用品、 家電、車、プロダクトデザインの分野ではいかにどこでもいつでも誰にでも使えるものにするか。ユニバーサルデザインの考え方が非常に大事で、近年注目されているSDGsにもその考え方が含まれます。その一般化することを如何に生産性と機能などの諸条件を充しながら最大効率を考え、かつ美しくモノを作るという分野はもちろん非常に高度で大切だと思います。

ただ、ヨーロッパの街並みなどを見ていて思うのは一般化すべきものとそうでないものを考えることの重要性です。前回、記事にしたサンセバスチャンにはその土地固有のものを上手く使って、その場所ならではの海岸線がありました。また、ここは美食の街として有名で独特のピンチョス文化がありサンセバスチャンの街にしかない夕暮れからの賑わい、風景が広がっていました。

サンセバスチャン

街づくりの部分にまで一般化が進むと、どの場所にいっても同じグレーの鉄とコンクリートとガラスの駅とビルの風景が広がることになります。現代社会において、全てがオーダーメイドとはいかず一般化することで得られるメリットも多いのですが、その中で少しでも一度その場所や人、時が持っている固有性を考えてモノを作る。そんなことの積み重ねによって、それらの固有性がより現れてくる。そうして作られるのがその街の空気、歴史だったりするのかなと思っています。

変わるものと変わらないもの

固有性という言葉の意味にある元々備わっているモノ。それに一度立ち返って考える。単純なようで難しい。独自の文化を大切にする。今世界はAI、デジタル化、DX、街づくりもスマートシティ構想が各地で実践されていこうとしてます。そういった恩恵で得られるものはすごく大きく私も結構新しい物好きですごく興味があります。ただ、そういった新しいものを取り入れながらも独自性、固有性を考えていきたい。

年に一度メゾン・エ・オブジェ に出展しパリを訪れるのですが、この街の風景、見た目はあまり変わらず歴史を感じる風格・美しさがあるのですが、行くたびに街の交通機関や空港など新しいシステムがどんどん取り入れられているのが印象的です。

一般化された便利なものと、ならではの固有のモノ、そのバランスを考えることがとても大事ではないかなと思っています。




wacca architects 一級建築士事務所
坊垣祐司



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