時を経て美しくなるもの
世の中の多くは使い始めが最も美しく、年月が経つにつれて劣化していき、そして廃棄されます。しかしながら無垢の木材は年月の経過に伴い、歴史を刻み、その場所だけの表情が深く美しくなっていきます。
先日、約5年前に設計をしましたイタリアンレストランのbistrisへ食事に行った際にお店の無垢カウンターを撮影。そこには人間の加工では表現できない素材の持つ空気感がありました。

鉄媒染で染色したブナの無垢天板 – 5年後の姿
こちらの木材の素材はブナなのですが、染色に鉄媒染という少し特殊な方法で塗装を施した物です。(当時の記事もこちらにあります。)
使い込まれることにより艶が増し、色は深く、木目がはっきりと浮き出てきている様子に風格さえ感じます。
自然の無垢の素材は製材したばかりの美しさはもちろんですが、時を経て見せる表情は、そこの場所や使う人、時間とともにそれぞれの姿を現します。それは5年、10年、20年と手入れをして使っていけばより深く美しくなるものです。
完成した時が一番キレイなものも良いですが、自身と共に時を重ね美しさを増していく素材。そんな素材とともに暮らしていくのも良さそうです。
wacca architects 一級建築士事務所
坊垣祐司