白い壁

日本では壁の色といえば白というのが一般的ですが、なぜ標準が白になっているのかと考えてみました。

よく言われるのが広く見えるとか清潔感があるとか、とか。あまり普段疑問に思わなくなっていますが盲目的にとりあえず白い壁紙をベースとしている家が多いと思います。

昔の民家は土壁で茶色っぽいイメージがありますが反対にお城は漆喰の白です。なぜお城は漆喰なのかというと、それは漆喰には高い防火性能があるからです。蔵の壁が白い漆喰なのもそうです。つまり白い色を選んだのでは無く素材の性能から選ばれたといえます。

白が広く見えるとか、清潔感がある、という理由はいまいちよくわかりません。部屋を広く感じさせるのであれば天井を高くしてみたり、入隅を目立たないようにしたりなど空間的な工夫でできることは多数あり、またその方が効果があります。白いバックは意外と物が目立ってしまうので部屋の中の家具などとのバランスが難しいこともあります。本当はなぜその色にするのか、を考えられていないから。いつからか無難な色は白とされ、標準的で一番安い壁紙が白で大量に生産されコスト重視のアパートやマンションの壁は全て白になり…そこで暮らしていくうちに白が普通という感覚になってしまっているかもしれません。

ヨーロッパの街を飛行機で上から見ると街ごとに色が違います。それはその土地で取れた土や石で建物が造られているからです。ギリシャの街が白いのは地中海沿岸の土地に含まれる石灰で壁が塗られているから。そして、その白は地中海の強い日差しを反射し家の中を涼しくし、また石灰の除菌作用で雨水を使用していたという歴史もあるそうです。

こうやって考えてみると日本のお城もギリシャの街も白い色にしたのは、きれいだからとか無難にとかではなく、その建物の用途や気候風土など様々な理由から生まれた必然的な白だったということがわかります。

そんなふうに壁の色ひとつとっても”何となく白”ではなく風土や機能そしてインテリアとの調和など一つ一つ考えながら決めていけるともっと空間の質がよくなると思います。




wacca architects 一級建築士事務所
坊垣祐司

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