境界のこと

建築を考えるのは、境界を考えることだというのを聞いてなるほどなと思いました。で検索窓に”建築、境界”と入れると

境界とは、パブリックとプライベート、個人と社会の間に存在するものです。 そして、暖かさと寒さ、見えるものと見えないもの、汚れたものと綺麗なものを切り離すのが建築境界要素であり、境界であります。

と出てきます。

実はいつも考えている境界

確かに建築空間の設計デザインの大半は境界線をどう処理するのかを考えています。一番最初に考えるのはその土地と街やお隣など周辺環境との境界をどうするのか、から始まります。周囲に対して開放するのか、閉ざすのか。境界の作り方も様々でコンクリートブロックの見えない壁で遮ることもできれば、植栽の植え込みで境界をつくることも出来たりします。物理的に分けてしまうのか、心理的な境界を意識させるのか、それによって周囲との関係性をつくっていきます。

建築物になると、まずは住宅と外の境界となる外壁や屋根、次に内部の室と室の境界。それらをどう区切るのか、どう関係づけていくのか、そのやり方は床や壁・天井等内装の素材や色の変化でなんとなくあちらとこちらを意識させたり、照明の濃淡や家具を利用したり、もちろん壁を立ててしまってはっきりさせるようなものまで多種多様で、境界線の作り方は無限にあります。

さらに言うと仕上げの部分。素材と素材のぶつかり合うところの境界(納まり)をどうするのかということも考えます。例えば床と壁がぶつかり合うところには大抵は幅木というものがついています、これは掃除機等がぶつかった時の壁の保護のためとよく言われますが、同時に床材と壁材の境界部分を隠すためだったりもします。異なる材料が接する部分は美しく仕上げるのが難しいので隠してしまおう、という施工上の理由であったりもします。

境界を意識させないこと

境界をつくるのが目的ですが、その境界線をいかに意識させないか。大きな壁で仕切ってしまうのが一番確実ですがそれだと息苦しい。適度に解放しながら上手く境界をつくっていきたい。仕上げの部分も境界を隠すのに幅木などを安易に使用すると逆に境界が目立ちます。いかに目につかないように設置するか、もしくは無くて済むようなデザインにできるか。そんなことを考えながら設計しています。そうやって吟味しながら作られた境界で生まれる新しい環境を考えていきたいと思っています。




wacca architects 一級建築士事務所
坊垣祐司



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