気づかれないデザイン

建築の設計に限らず物を考える(デザインする)ときに、いつも基本になるというか片隅に考えておきたいことがデザインが主役になってないのがいいな、ということです。分かりにくいし伝わりにくいのですが、デザインしていることがこれみよがしに見えているのではなく、普段から何気なくそこにあるものでありたいと考えています。

私はイタリアのデザイン事務所で勤務していたことがありましたが、ちょうどその頃に亡くなったイタリアデザイン界の巨匠の一人にアキッレ・カスティリオーニという人がいました。数々の有名なプロダクトを手掛けていますが、その中で彼が一番気に入っているものがある”スイッチ”らしいのです。

その理由が、”著名なミュージアムに自分の名前と共に飾ってあることよりも、自分がデザインしたことなど知らず、どこの家庭にも昔からあったもののように使ってくれているものの方が嬉しい”のだそうです。

L’interruttore rompitratta di Achille e Pier Giacomo Castiglioni

とてもシンプルなスイッチですが本当に無駄が無く美しい形をしていますし、操作した時のカチっという感覚も何とも気持ちの良いものです。 このスイッチは実際にイタリアの家庭のあらゆるところに普通に使ってあります、でみんな気づいていないし、もちろん話題になるようなものでもない。

普段は意識しないし気づかない、けどよく見るとすごく気を使って考えられている、美しい。気づかないということは”気にならない”ということで、自然にそこに存在できているということです。地味な作業の積み重ねですが、そんなことを大事にしていきたいと考えています。




wacca architects 一級建築士事務所
坊垣祐司

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