商店建築掲載



昨年、設計デザインしましたイタリアンレストラン”bistris (ビストリス)”が商店建築8月号(2017.08 / P91-P94)に掲載されました。

目を見張るような派手さはありませんが、素材を吟味しシンプルな空間の中に細かいところまでこだわりが詰まっています。劇場へ足を運んだ時のような静謐な空気感、そこでの演目(コース料理)を楽しむこと、に注力して設計しています。

見かけました際には是非ご一読ください。

料理も美味しいので、気になった方は足を運んでみて下さい。
素材の空気感も感じていただけると思います。
 
 
 
 


聴竹居



昨年の暮れ頃のことなのですが聴竹居という建築を見に行く機会がありました。日本で最初に「環境共生住宅」を志向したといわれる藤井厚二という建築家の自邸であり実験住宅です。

環境、エコと今ではあたりまえに世間で言われていることですが、こちらは80年も前にそれが環境工学を基礎として実践された住宅ということでした。当初、見学に行く前は所謂、日本の伝統的な建築で”当時”新しかったものなんだろうなぁという感覚でいました。ところが実際にいってみると今見ても十分新しい、発見や驚きのある考え尽くされた住宅で時間を忘れて見入ってしまいました。

日本の住宅は擬洋風建築とも言われるような発展を遂げていきましたが、この住宅は西洋化一辺倒ではない日本の気候風土を考えた日本の住宅の正しい進化の形のようにも思えます。

クールチューブ等を使った外気の取り入れ、空気の流れや断熱性を考えた設計で今の住宅にも取入れることができる工夫が随所にありました。日本家屋では珍しい横長のパノラマ窓や照明器具のサイズ操作による奥行きの見せ方等々、書き出すとキリがないのでそれは専門書や実際に見学に行くことをオススメします。私自身も季節を変えて表情の違う”聴竹居”を何度も見に行きたくなりました。

過去に西洋の文化が日本に適合させることなくそのまま模倣によってたくさん取入れられましたが、そうではなくもう少し時間をかけ日本の文化の発展とともに西洋化したらどうだったか。そんなことを考えることがありますが、この住宅は其れを実践しようとしていたのかもしれないですね。



Living Room II by Michel Blazy



“「リビングルームⅡ」 ミシェル・ブラジー展”というのを見に行きました。

ミシェル・ブラジー展001
銀座のメゾンエルメスで開催しています。普段店舗に入ることは滅多に無いのですが、メゾンエルメスでは8Fでさまざまなアーティストの個展をやっていたり、10Fのミニシアターでは映画を見れたりします。どちらも無料で、素敵な空間で堪能できるのでたまにチェックして見に行きます。
▷「リビングルームⅡ」 ミシェル・ブラジー展

今回見に行ったのはミシェル・ブラジーさんというフランス人作家の方の個展です。日本で個展開催は初だったらしいです。近くで用事があったので閉館ギリギリに滑り込んで見ることができました。そのせいか人も少なくゆっくりと見れてよかったです。

自然の植物や動物など命のサイクルや移り変わりなどを作品に取り入れている方なんだそうです。

で、まず最初に登場するのがこんな感じ

ミシェル・ブラジー展002

プレステ2?から植物がはえてます。素材としては人や生物よりも長い寿命をもつのに、経済の流れの中での寿命はとても短い”型落ちした既製品”に植物を寄生させて文明の流れを感じさせる作品です。なんだかただのゲーム機がまるで太古の遺産のような雰囲気になってて不思議な感じです。うちの古くなってどうしようか困ってる家電なんかもこんな風にプランターとかにしてみたら楽しそうだなぁとか思いました。

ミシェル・ブラジー展003

でこちらは素敵な模様のカーペットだなぁ….と思って近づいてみると….。

ミシェル・ブラジー展004

わかりますか?カタツムリがたくさん!かれら生きてるんです。
そう、美しく見えた柄はこのカタツムリ君達が描いた軌跡だったんです。この他にもチョコレートとかをネズミがかじった跡とか、そういう小動物達との”共同作業”(と彼は言っています)でアートをつくっているんだそうです。

ミシェル・ブラジー展005

2009-2016と表示があるので、7年かけて彼等が描いた軌跡だったんですね。。すごい。

ミシェル・ブラジー展006
ミシェル・ブラジー展007

ほかにも“ほうきになるほうき”とか”ワインを飲む壁”のアートとか、見た目の美しさと手法の面白さのアンバランスさがとても新鮮で楽しかったです。

まだ始まったばかりで2016 年11月27日(日)までやっているそうです。時間が経つと変化しそうな作品もあったので会期中にまた訪れてみたいです。興味のある方オススメです。

ここのギャラリーはガラスブロックをとおした光で、その日の天気や朝と夜で凄く雰囲気が変わるのも面白いです。ちなみに私が行ったのは雨上がりの日没後19:00頃でした。

ミシェル・ブラジー展008

最後にショーウィンドーもいつもセンスが良くて素敵、さすがです。
今回は、サボテンを専門とする植物家の小田康平さんの「旅の途中」というコンセプトらしいです。


ZAPPETO(ザペット)について



H.P.DECO 好奇心の小部屋
今年の1月にフランス・パリの”Maison et Objet(メゾン・エ・オブジェ)”展で発表した我々のオリジナルプロダクトの”ZAPPETO”(ザペット)がこの5月に日本でも取扱いがはじまりました。
まずはH.P.FRANCEさまの北青山の”BAZAR et Garde-mange”(バザー・エ・ガルドモンジェ)でオーダー会です。こちらはパリ、メゾン・エ・オブジェに出展した際にMarthe Desmoulins(マルト・デムラン)さんというバイヤーの方と出会い実現しました。先週末には同系列店である”H.P.DECO 好奇心の小部屋 福岡店”でまずは先行して発表されました。


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このプロダクトはラグという分類なのですが、普通のラグと大きく違うのは”立体的に設計”してあるところです。普通ラグというと四角い(以外もありますが)マットにどんな絵を書くか…というデザインですが、我々はラグを敷物としてでは無く”空間における家具”として設計をしてみました。写真では分かりづらいのですがこの波紋のようなぐるぐるとした円形はただのグラフィックではなく中心から外へ向かってだんだんと高くなっていて断面的には”お椀型”になっています。またこれは決まった場所にずっと敷いておくものではなく、自分の気に入ったところに持っていき使いたい場所で使うものです。座布団のような感覚ですね。コンセプトが“居場所をつくる”ということで、自分のお気に入りの場所を作るのはもちろん、人と人がつながる場所、集まってくる場所などいろいろな空間=居場所を生み出せるものとしてデザインしています。

昔から日本ではリビングやダイニングなどお部屋に名前などは無く、座布団と円卓を置けばダイニングになり、布団を敷けば寝室です。それらを仕舞い建具を開けば催事の際の広間が出来たりもします。日本では明治以後に西洋家具が入るまで、家具全体をさす言葉はなかったようです。ほとんどが建築にくみこまれた家具であり、家具自体が建築だったとも言えます。そういう意味では空間の考え方は今よりずっと自由であったのかもしれません。リビングだからソファとローテーブルを置いて…という決まりきった設えではなく、今日は天気がよくて日のあたる窓際が気持ち良さそうだな…と思った場所に持っていけばそこに自分だけの空間ができる。そんな使い方ができればもっと自由に空間が楽しめそうです。

考え方もそうですが、質の良さにもかなりこだわっています。先述したお椀型ですが、糸の打ち込む高さを職人の手で調整しながら打込んでいくことや綺麗な正円を描くこと、これはなかなかどこでもつくれるものではありません。是非この美しいカーブにも注目してください。材料であるウール、そしてその糸になるべく負担をかけずに染める“カセ染め”など、素材にもかなりこだわったからこそ美しい色が表現できています。

詳しくはこちらです。www.zappeto.com

オーダー会開催予定は下記です。

期間中はバイヤーのマルト・デムランさまによるカラーカウンセリングでパーソナルオーダーをサポートしていただけます。またマルトさんのオリジナル色も限定でご注文いただけます。是非この機会をお見逃し無く。

マルトデムラン

【Bazar et Garde-Manger】

日時:2016年5月21日(土)・22日(日)15:00~19:30

会場:Bazar et Garde-Manger

東京都港区北青山3-7-6  TEL: 03-5774-5426

【H.P.DECO 好奇心の小部屋 福岡店】

日時:2016年5月13日(金)・14日(土)15:00~20:00

TEL: 092-716-8202

【H.P.DECO 好奇心の小部屋 二子玉川店】

日時:2016年5月19日(木)14:00~18:00

TEL: 03-6411-7128

 


鉄媒染(塗装編)



今回は実際に鉄媒染によるブナ天板の塗装行程を紹介します。まずは鉄媒染に使う溶液作りから…最初に用意するのはこちらです。
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お酢とスチールウールです。酢といっても、ホワイトビネガーというトウモロコシから作られる濃度の高いもので写真のHEINZ社の物が仕上がりが良いらしいです。スチールウールはBon Starの#000極細です。細かいほど表面積が大きくなるので反応しやすいです。まずガラス瓶にこの二つを入れて反応させます。

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ぶくぶくと泡をたてながらスチールウールが酢に溶けていっているようです。一週間ほど置くと…

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こうなります。真っ黒です。これを漏斗で濾過して不純物を取り除いたら鉄媒染液 – 鉄漿水(かねみず)の完成です。

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まず下塗りはお茶のタンニンです。この段階では濡れ色になるくらいで全く変化はありません。これが乾いたらいよいよ先ほど作った鉄媒染液を刷毛でぬっていきます。本当にあっという間に色が変わっていくのでとても不思議でした。なんだか家具制作というより科学実験みたいです…。鉄媒染以外にも”すず”、”アルミ”、”銅”など使う金属、タンニンにもお茶やコーヒー紅茶など組合わせで様々な色が出るようなので時間があればまたじっくりと試してみたいですね。

そして、変化した板の色がこちらです!

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これはまだ表面が濡れていてかなりぎらついていますが、2-3日ほどして色味が落着いてきて最終的に”bis tris(ビストリス)”に納入したものになります。最後に表面の保護用にオイル塗装をして完成したのが下の写真です。

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予想以上に良い顔になりました!客席の自然なブナ材のテーブルとのコントラストで素敵な雰囲気になっています。店舗のコンセプトでもある”舞台”としてシェフの料理を楽しんでいただけるカウンターになっていけばよいと思います。”bis tris(ビストリス)”のテーブルとカウンターは材料調達から塗装までを業者に頼らず自力で行い試行錯誤の中で完成しました。見た目はとてもシンプルですがクオリティは最高です。食事に行かれた際は是非シェフの故郷のブナの息吹を感じていただきたいです。IMG_0453_r

こちらは客席のオイル塗装をしたブナのテーブルです。どちらも全く同じブナ材なんですが、仕上げだけで全く違うものになるのが面白いところですね。


鉄媒染 (木材加工編)



前回ご紹介しました鉄媒染カウンターの実際の工程です。
まずは塗装を行う木材ですが今回はブナの無垢板を使いました。
元々の材木はこんな感じです。

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オーナー様のルーツである青森の県産材でお店を設えたいと思い、材料にはこだわって探しました。これが様々な工程を経て納入したカウンターになるわけです。

今回は運の良いことに、しっかりと3年以上天然乾燥された材料がまとまって手に入りました。

そもそもブナの木というのは水分を多く含み、加工後に狂いが出やすく家具の天板には中々使いづらい材料です。漢字で書くと”橅” つまり昔は使いみちが“無い木”とされてきたようです。今の時代ですと人工乾燥という方法もありますが、それでも加工にはとても気を使う材料です。シンプルに見える天板も中身は複雑に嵌合してあったり、様々な工夫で反りを防止しています。

まずはこちらの材料を分割し、接合(はぎあわ)せて目的の形状に加工をします。その際も反りの出にくいよう、そして木目が綺麗に出るように気を使いながらレイアウトしていきます。

IMG_9650_r↑こちらが客席のテーブル天板

IMG_9638_r↑こちらがカウンター天板、ワイドは約2000mmです。

で、下の写真が製材され天板の姿になったもので、まだ全くの無塗装の状態です。

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客席のテーブルはホワイト系のオイルで無塗装に近い仕上がり(通常のクリアーで塗装すると濡色と言って無垢の色とは変わってくるので要注意です。)に、シェフの舞台であるカウンターは“鉄媒染”で黒っぽく仕上げていくことになります。一枚一枚の天板が自然の木ならではの多彩な表情をしており、塗装をするとさらにそれが強調されとても美しくなるはずです。

次は最後に塗装編です。


鉄媒染


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設計監理を終え、先月オープンしたイタリアンレストラン(bis tris ビストリス / www.bistris-aoyama.com)では“鉄媒染”とよばれる手法で木材を染めました。なかなか情報も少ない中、木材にとても詳しい方のご協力をいただき、海外のWEBサイトなどから情報を集めながらでしたが最終的にとても素敵な色に仕上がり、苦労した甲斐がありました。

木材の塗装には着色オイルという方法もありますが、今回の方法は単純に木地に色を付けるのではなく木材特有の性質を使い木材自身の色を反応させ変化させる方法である為、本来のきれいな木目や質感を損なうことがないのが最大の特徴です。
これは古来から“お歯黒”というお化粧につかわれていたものと原理は同じで、草木染めで今でも普通に使われている手法です。
木材でもお盆やカトラリー等を染めた例はよくあるようですが、今回のような大きなカウンター天板をこの手法でやった例はあまり見かけませんでした。(海外のWEBをみているとDIYでもやっているようでしたが…)

大雑把に仕組みを説明しますと“タンニンと鉄を反応させて黒く染める”というのがこれの原理です。

タンニンとは“革を鞣す”という意味の英語である “tan” に由来するそうです。ワインやお茶などにも含まれるいわゆる“渋み”ですね。植物界に普遍的に存在し、今回使用したブナ材に含まれるタンニン分の多さは中くらいといったところでしょうか。今回は足りないタンニンを補うのに茶渋を使っています。
オーク材ですとかなりのタンニンを含んでいるのでそのままでもかなり黒く染まるそうです。このタンニンの量や種類で色味や濃さが変わってきます
写真は実際に店舗に納入したカウンターです。元々がとても美しい木理のブナ材だったのですが、その美しさをそこなうこと無くグッと高級感のあるダークブラウンに変化しました。

詳しい過程は次回ご説明したいと思います!

※余談ですがワインに含まれるタンニンは製造工程で葡萄の果皮や種子に含まれるものに加え、熟成の際に使用されるオークの樽からも抽出されるそうで酸化を防ぐ役割もあるそうです。


bis tris オープニング


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2016/3/12
冬がぶり返して肌寒い土曜日、昨年末から設計監理をすすめておりましたレストラン”bis tris”のオープニングパーティーがありました。それはもう凄いひとの数で身動きが取れないくらいでした。
今回のプロジェクトでは物件探しの段階からお手伝いをさせていただきまして、かれこれオープンまで約1年かかりました。もちろんオーナーさまはずっと以前からご準備をされていましたからもっとですね。
そういう訳で本物件は私にとっても大変思入れが深く、オープンして人でごった返すのをみながら嬉しくもありつつ手から離れていく寂しさのようなものもありました。
我々設計の仕事に区切りがついてきたころ逆にお客さまのほうはいよいよ本格的にスタートを切ることになります。これからもお客さまにスムーズにスタートしていただけるようにバトンを渡していきたいなと、そんなことを思いました。

“bis tris”(ビストリス)はイタリア語のアンコールのかけ声、一度目のコールは”bis”(ビス)二度目は”tris”(トリス)。
劇場のような高揚感と何度でも訪れたい居心地の良さと新鮮さをコンセプトとしています。舞台に見立てたカウンターでのシェフの手さばきを目でも楽しんでもらえるコース料理のお店です。
詳しくはプロジェクトのページも見てください。↓
http://wacca-aad.com/gallery/bistris

お店のHPはこちら↓
bis tris (ビストリス)
http://bistris-aoyama.com


webサイトをリニューアルしました


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webサイトをリニューアルしました。
学芸大学、武蔵小山エリア、東京都目黒区碑文谷で東京を中心に建築設計・デザインを行う建築設計事務所です。
住宅・店舗・オフィス等(新築/リフォーム/リノベーション)の設計、インテリアデザイン、家具・什器・工業製品等のデザイン、グラフィックデザインなど、建築を中心に様々なデザインをおこなっています。
宜しくお願い致します。